父と孫

父が亡くなって、もうずいぶんと経った。のかな?
もうすぐ半年たつのだが、もう半年なのか、まだ半年なのか。
まだ何かの拍子に思い出して、涙がでる。
それを子どもに見られて、心配をかけてしまった。

3年生になる息子が、家族の作文でおじいちゃんのことを書いた。
ぼく、おじいちゃんのこと書きたい。
そう言ったこの子は、父に一番懐いてた子で、おかあさんより先にジーチャンという言葉を喋ったくらい、おじいちゃんが好きだった。

ああ、この子がピアノでワルツを弾いた時に、父がとても喜んでいたな。
孫がピアノを弾いているのを見て、ニコニコするじいさん、なんてほのぼのした喜びかたじゃなくて、素晴らしい!ブラボー!といった、まさに感激したという様子で、興奮気味に喜んでいた。
音楽を愛した父は、孫のうち誰か一人でもいいから、音楽を趣味にして欲しいと言っていたと、母に後から聞いた。

ゴールデンウィークに実家に行った。弟一家も来ていて、孫が5人勢揃いした。
おやつの時間、幼稚園児から小学四年生までの男子5人が、テレビを見るような格好で、なぜか仏壇を見ながらゼリーを食べていた。
おじいちゃんと食べる。
最年長の子がそう言って仏壇の前に行ったら、全員がそれに倣ったのだ。
これを父に見せたら、きっと笑うだろうな。
でも見せてあげたい父は、もういないんだな。

戒名をしなかった父の位牌は、生前の名がそのまま刻まれている。
なので、子どもたちも、これがおじいちゃんの位牌だと、すぐにわかったみたいだ。

この子どもたちは、どのくらい父のことを覚えていてくれるだろう。